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NEUTRAL COLORSの展示を見てきた

 ある日いつものようにツイッターを無目的に眺めていると、つぎのツイートが目に飛び込んできた。

 ON READINGといえば、名古屋市の東山動植物園の近くにある小さな書店である。本屋と併設して小さなギャラリースペースもあって、そこで時々面白そうな展示をやっている。私も過去にラッパーのECDを写真家の植本一子が撮影した展示を見にいった覚えがある。

 でもそこで雑誌を制作するってなに…?

 興味を惹かれた私はさらにツイッターを駆使して情報を集めた。すると、つぎのツイートが目に入った。

 完全に作業所ができている。この画像を見て展覧会の風景と思う人はまずいないだろう。いよいよ気になったのでちゃんとステートメントを読んでみた。以下に引用する。

NEUTRAL COLORSが実際にリソグラフ実機を使い印刷しつづける日々を展示します。

NEUTRAL COLORS第4号は「雑誌だけで生きていけるか?」が通底テーマ。そして紙と平行して「雑誌ができるまで」をWEB連載で追いかけました。その連載を紙媒介化。リソグラフで刷りながら制作します。本展示は、制作風景をそのまま展示として見てもらう試みです。仕事特集の本当のフィナーレ。毎日刷ります。日々紙が増殖していき空間を埋め尽くしていきます。ドネーション式(投げ銭)で行いますので、見学という名の励ましに来てください。はたして、リソグラフはわたしを救うのか——。

https://onreading.jp/gallery/nc_ex/

 どうもNEUTRAL COLORS第4号の特集の一環ということらしい。実際に雑誌のホームページを見てみると、見本のページをパッと眺めるだけでもかなりかっこよくて製本にめちゃくちゃこだわっていることが伺えた。

 というわけで、実際に展示がどうなっているのか気になった私は、7月6日(木)の昼下がりに興味本位でギャラリーに訪れてみた。

 ビルのスロープを上がり2階のギャラリーのドアを開けると、すでに7~8人くらいの人がコミュニケーションを取りながらせわしなく作業をしていた。もしここで事前情報がなければそのまま静かにドアを閉じ、「へえ、前にギャラリーだったとこ今は印刷会社になったんだ」などと思いながらその場をあとにしたに違いない。しかし、ここは冷静になって誰にともなく挨拶をしてみると、皆さん気さくに挨拶を返してくれ、そこで作業を手伝っていたON READINGの書店員さんに企画についての説明を聞くことができた。許可をいただいたので、撮影した動画を載せながらコメントをしていく。

こちらが展示の様子。とにかくみんなが慌ただしく働いている。悠々と立ってカメラを回しているのは私ぐらいである。なぜだか少し偉くなった気持ちになるが、間違いなくこの空間で最も偉くない存在である。

この機械の名前は忘れたが、ここに紙を置くと自動でどんどん半分に折っていってくれる。文明の利器と人間の手作業によって一冊の本はつくられていく。

 作業の邪魔をしてはいけないと思い、あまり長居はせずに失礼したが、それでも実際に紙が印刷されて本になっていく過程の一部を垣間見れてとてもよかった。何より、とんでもねえ量の用紙が小数人の手作業となんか大きい機械によって本にされていく様の、ポジティブな気迫のようなものに触れて、世の中にはすげえ人たちがいるんだな~と感動したのだった。いやー、すげかったわ。

 さて、家に帰ってツイッターをチェックすると、以下のツイートがあった。

 あの人たちみんな客だったのかよ。まあそれはともかく、どうも自分が見た作業は「丁合い」という工程らしい。さっそく調べてみると、以下の説明が見つかった。

製本のさい,シート紙や折り丁をページ順に揃え1冊にまとめる作業。手で集める手丁合いと丁合機を使う機械丁合いがある。1冊の中で,折り丁を重複して取ることを「取込み」,ある折り丁が脱落して欠けることを「落丁」,順序を間違えたものを「乱丁」といい,これらを防ぐために総繰りをおこなったりする。 

https://www.jfpi.or.jp/webyogo/index.php?term=1475

 さらに、この「丁合い」のひとつ手前に「折り」という工程があり、それは印刷物を折って「折り丁」にする作業らしい。

 以上を踏まえて自分の撮影動画を見返してみると、おそらくギャラリー中央の機械によって折り、それを左奥の机で調整し(「折り丁」作業)、そしてできたものをギャラリー手前の机で「丁合い」作業していた、ということなのだろう。

 数日後、本当に雑誌が完成してサイトでも販売されていた(自分は展示会場で予約した)。その名も「NEUTRAL COLORS 4
MAKING MAGAZINE」特集: 「仕事」を特集した雑誌をつくる「仕事」
。入れ子みたいな特集名である。限定500冊とのことなので、興味をもった方はぜひ購入して実物を手に取ってもらいたい。というか500冊もつくったの本当にすごいな…。

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